2025年9月23日から10月1日まで、ポルトガル木材・家具産業協会(AIMMP)は、東京と大阪を舞台にしたビジネスミッション「WOOD LIVING SOLUTIONS Japan Mission 2025」を開催しました。ポルトガルを代表する木工・インテリアブランド16社が参加し、日本市場とのビジネス連携強化とサステナブルデザインのプロモーションを展開。そのハイライトとして、9月26日から29日の4日間、EXPO 2025 大阪・関西万博のポルトガルパビリオンにて「SECOND LIFE」展が開催されました。会期中に現地を訪問し、展示を拝見しました。
「SECOND LIFE」展とは
「SECOND LIFE」をテーマに、アソシアティブ・デザインがキュレーションした本展は、現代デザインにおける素材の再生可能性を探る試み。ポルトガルのアイデンティティでもある「森」と「海」から着想を得て、伝統、革新、持続可能性を結びつける展示でした。
選ばれた作品は、再利用や耐久性、美的更新を重視し、意識的なデザインアプローチを体現。廃材やリサイクル素材を活用した家具やインスタレーションを通して、サステナブルデザインの可能性を強く感じさせる内容でした。


印象的だった家具
最も心に残った作品を二つ紹介します。
一つ目は、巨大なシャンパンコルクをモチーフにした 「CHAMPAGNE SIDE TABLE(シャンパンサイドテーブル)」。Luís Leãoが作成した、頑丈なコルク本体に優雅な金属構造を組み合わせたデザインは、祝祭の華やかさと自然素材の温かみを兼ね備えています。 ポルトガルは世界一のコルク生産国であり、この作品にも廃材のコルクが使用されていました。さらに、万博のために特別に、日本を象徴する「桜」がペイントされており、両国の文化が美しく融合しています。 見た目も素材もコルクという遊び心あるデザインに、思わず目を奪われました。コルクを再利用して家具にするという発想は新鮮で、とても印象的でした。


二つ目は、装飾空間構造 と題されたインスタレーションです。回収されたポルトガルの廃木材を用い、青と黄色の円盤で日本とポルトガルの国旗を象徴。波や陶磁器のモチーフが両国の海洋遺産を想起させます。
この作品はビスを使わずに部品を組み合わせて構成されており、縄もリサイクル素材が使用されていました。展示を回すと、波同士が合わさる瞬間を思わせ、日本とポルトガルが海を通じて結ばれてきた歴史を視覚的に表現していました。忘れられた素材に新しい命を吹き込み、文化の出会いを象徴するような作品でした。

「SECOND LIFE」が伝えるもの
展示の全作品は、この展示のために新しく制作されたもの。使われなくなった素材に“第二の人生”を与えるというコンセプトは、単なるスローガンではなく、職人の技術と素材への敬意によって具体的に形作られていました。手で編まれたファブリックや、廃材を組み合わせた家具をみて、デザインは“遠い理想”ではなく、日常の中に息づくものであり、日々の選択に寄り添う存在でもあると改めて気づかされました。
昨日閉幕を迎えた万博ですが、「SECOND LIFE」展で体感した“再生”や“共創”というキーワードは、万博が目指してきた未来の社会そのものを象徴しているようでした。世界と日本をつなぐデザインの力を、これからも見つめていきたいと思います。

