この春にスタートしたサントリー大阪工場の「スピリッツ・リキュール工房」見学ツアー。大阪の新たな体験型スポットとして注目を集めており、今回実際にその内容を体験してきました。ものづくりの現場を間近に感じながら、その背景やこだわりに触れ、五感で楽しめる充実のツアーとなっています。
はじまりのラウンジ
到着するとまず、今回新設された「はじまりのラウンジ」で、サントリー大阪工場の歴史や創業者・鳥井信治郎の思いや「スピリッツ・リキュール工房」でつくられているさまざまな製品の紹介を映像とともに学びます。
「やってみなはれ、やってみなわからしまへんで」
サントリーの歴史は、1899年に創業者・鳥井信治郎が大阪で開いた「鳥井商店」から始まります。西洋から輸入される洋酒が主流だった時代に、「日本人の味覚に合う本物の洋酒をつくりたい」という強い思いを抱き、自らの手で国産洋酒づくりに挑みました。
特にウイスキーづくりにおいては、「日本でも世界に通用する品質を実現する」という信念のもと、1923年に山崎に日本初となるモルトウイスキー蒸溜所建設に着手。気候や水質など、ウイスキーづくりに最適な環境で、試行錯誤を重ねていきました。
その後も「やってみなはれ」の精神で、失敗を恐れず挑戦を続ける姿勢のもと、ウイスキーだけでなくビールやスピリッツへと事業を拡大。創業者の“良い酒をつくりたい”という純粋な情熱は、現在のサントリーにも受け継がれ、日本を代表する総合酒類メーカーへと発展しています。



ボタニカルロード


スピリッツ・リキュール工房へのアプローチであるボタニカルロードには、ジャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」に使われる素材と同じ大島桜や八重桜、ジンのボタニカルであるジュニパーベリーやレモン、ビターオレンジなど時期によりさまざまな植物が植えられています。
また、ボタニカルロードの足元には、サントリーの創業精神である「やってみなはれ、やってみなわからしまへんで」など、創業者・鳥井信治郎の言葉が刻まれています。
製造工程見学
最初に迎えてくれるのは、蒸溜釜をモチーフにしたオブジェ。この工房のロゴマークは桜と梅と山椒と柚子などをモチーフにしてデザインされており、和素材をつかってスピリッツ・リキュールをつくっていることを象徴しているのだそう。
その後ろには、サントリースピリッツ・リキュールの歩みを年代ごとに振り返るヒストリー展示があり、歴代の商品や広告・ポスターなどを通して、時代と共に進化してきたサントリーの歴史を辿ることができます。
1958年には、当時の月給に匹敵する約18,000円で販売された「ホームバーセット」を発売。また、1974年には日本初の低アルコール飲料「POPカクテル」を発売し、日本の洋酒文化の広がりを支えてきた歴史を知ることができます。さらに、「バーという場や、語り部となるバーテンダーの存在を大切にする」との哲学から、国内初のカクテルコンクールを開催するなど、精力的に活動してきた軌跡を辿ることができます。



4階に進むと、さまざまな原料素材の展示があり、ガイドの方の詳しい説明を聞きながら、実際に匂いを嗅いだり、どのような製品に使用されているかを学ぶことができます。
「ジン」の製造に欠かせないボタニカル素材
諸説ありますが、13〜14世紀のオランダで薬用酒として誕生した「ジン」は、オランダ語でジュニパーベリー(セイヨウネズの実)を意味する「ジュネヴァ(Genever)」がイギリスへ伝わった際に短縮されたことが語源とされています。その最大の特徴は、ジュニパーベリーがもたらす松脂やウッディさを思わせる独特で爽快な香りにあります。本場ヨーロッパのEU法における世界的な定義では、ベースに農産物由来の高品質なアルコールを使用すること、主たる風味がジュニパーの香味であること、そしてボトリング時の最低アルコール度数が37.5%以上であることが定められています。
当日、実際にジュニパーベリーの実を試食させていただきましたが、一般的なベリーのような甘酸っぱさはなく、まさにジンを連想させるウッディな風味と、程よい苦味、そして胡椒のようなスパイシーな余韻が特徴でした。
素材により使い分けられる蒸溜釜
実際の蒸溜釜を見学する前には、工場で使用されている蒸溜釜についての解説も行われます。原料や引き出したい香りに合わせて蒸溜釜を使い分けており、その種類は全部で4種類。例えば、柑橘類のみずみずしくフレッシュな香りを引き出す「ピール・レクチ」や、桜の葉やバナナなど繊細な香りの抽出に適した「減圧蒸溜釜」など、それぞれ異なる役割を担っています。中でも減圧蒸溜釜は、ほかの蒸溜釜が銅製であるのに対し、唯一ステンレス製の胴体を採用しているのが特徴です。



工場では、8基の浸漬タンクと4基の蒸溜釜を備え、効率的な生産体制が構築されています。蒸溜釜は自動洗浄が行われるほか、原料が内部に残らないよう角度まで計算された設計が施されています(高さ11.5メートル、容量は3,000〜5,000リットル)。デッキからは実際に使用している浸漬タンクや蒸溜釜を見ることができます。「パイロットディスティラリー」という小型の蒸溜釜も見ることができ、ここでは、手作業でさまざまな条件を試しながら最適な製法を探り、新商品の開発や品質の維持だけでなく、ものづくりの技術や知見を次世代へ受け継ぐ仕組みづくりにも繋げています。


クリエイションルーム
ツアーの最後は、360度の没入感のある空間での試飲体験。普段味わうことのできない「ROKU〈六〉」の原料酒などのテイスティングを通じて、旬の素材へのこだわりや、多彩な原料酒をつくり分けブレンドして生まれた「ROKU〈六〉」の味わいを体感できます。サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」は、日本の四季を表現した6種の和素材を使用しているのが特長で、その中から桜と柚子の原料酒が用意されており、テイスティングを楽しみながら、その特徴やこだわりについて学びます。
「ROKU〈六〉」のこだわり
「ROKU〈六〉」は、素材それぞれの個性を見極めて、最適な調理を施した上で、ひとつの料理へとまとめ上げる和食の「炊き合わせ」の考え方とまさに同じで、それぞれの素材を最も良い状態にある“旬”の時期に収穫し、鮮度を保ったまま浸漬・蒸溜しています。
桜の原料酒は八重桜を使用しており、関山という花びらは30~50枚ほどで分厚いボリュームがある品種で、そこに大島桜の葉っぱの蒸溜酒も加えているのだそう。4月中旬から下旬にかけて開花し、香りが最も豊かになる七~八分咲きの頃に摘み取られます。その後、すぐに運ばれ、丁寧に漬け込まれることで、「ROKU〈六〉」ならではの華やかな香りを生み出しています。また、柚子は国産を使用。柚子のフレッシュでみずみずしい香りを最大限に引き出すため、サントリーの職人技によって最適な方法で蒸溜が行われています。
自分好みのジントニックを
桜の原料酒は、華やかで豊かな香りが印象的。一方、柚子の原料酒は、口に含むと爽やかな香りが広がり、喉を通る際にはほんのりとした甘みとほろ苦さが感じられます。この苦味要素は、柚子の皮を浸漬して香りや風味を引き出しているためだそうで、どちらの原料酒にも砂糖は使用されておらず、素材そのものが持つ自然な香りや味わいを楽しめます。さらに、アイスペールとトニックウォーターが用意され、リキュールを組み合わせて、自分好みのジントニックを試飲できます。
参加記念の特典として、「ROKU〈六〉」200mlを持ち帰ることができます。なお、アルコールの試飲ができない方には、工場オリジナルグラスがお土産として用意されています。



ギフト&ギャラリー
見学ツアー終了後には、大阪工場のスピリッツ・リキュール製品や、「スピリッツ・リキュール工房」限定グッズを購入可能です。試飲体験でも提供されたフルーティーな味わいが魅力の「KANADE〈奏〉」シリーズやROKU〈六〉、翠(SUI)、サントリーの酒づくりの原点である赤玉スイートワインを購入できるだけでなく、工場オリジナルのグラスやTシャツ・キャップ、ステッカーなど記念として残しておけるアイテムもラインナップされています。
※「ギフト&ギャラリー」のみの来場不可



「サントリー大阪工場 スピリッツ・リキュール工房ツアー」
・所要時間:80分 ※20歳未満の方はご参加いただけません
・参加費 :3,000円(税込) ※お土産の「ROKU〈六〉200ml」含む
・アクセス:〒552-0022 大阪府大阪市港区海岸通3丁目2-30
※JR環状線「弁天町」駅からは無料シャトルバスも運行しています。▶︎詳細はこちら
・問い合わせ先:https://www.suntory.co.jp/customer/
予約:https://www.suntory.co.jp/factory/osaka
※抽選制となります
大阪の新たなおでかけスポットとして、サントリーの歴史を学びながら、ものづくりへのこだわりやブランドの魅力を体感してみてはいかがでしょうか。











